りんご泥棒

山形のさくらんぼ、すいか、そして青森のりんご

それぞれの作物が熟し 食べごろになり 収穫時期になるとこれらの被害がニュースになって届く 最近は米の被害も聞こえてくる

 

りんご経営がほぼほぼ軌道に乗り 出荷するまでの収穫量になると 

毎年山のりんご畑には 地元の小学生が社会科見学や遠足に 

そして直接リンゴがなっているところを見て買いたいというお客

更には夜中になると招かれざる盗人も

祖父の頃は被害もそれほどでなかったが リンゴ栽培に反対していた父がこれならいけると踏み 後継者になり リンゴの種類も多くなってきた頃から被害が増えてきた

毎夜のように現れるというりんご泥棒に 色々なアイディアで対策も講じたが 

それほどの効果もなかった 価格の高い品種程被害が多かった

 

ある夜 犬の鳴き声とバイクのエンジン音で目を覚まし りんご畑を探し始めたが人の気配を感じられず小屋に戻ろうとした時バイクを見つけた

父はガソリンタンクのキャップを外し 小屋に持ち帰った

 

山への近道があったがそこは車が通れず 

車やバイクで来る時は遠回りになりしかも舗装されていない砂利道で 

大きな石もごろごろ転がっている

りんご泥棒はずっと続く悪路の下り坂を ガソリンタンクのキャップのないバイクで走る羽目に

どのようにして帰ったのか と翌日お手伝いのおばちゃんたちとこの話で盛り上がった

父は キャップを取り戻しに来るかもしれない とも思っていたかもしれない

兎に角 アイディアにあふれ 咄嗟の機転が利く父であった

それ以降も招かれざる客は後を絶たなかったが