どぶろく

近所のスーパーの酒コーナーで見たことのないメーカーのどぶろくが目に留まった

買おうかな とも思ったがこれまで何種類かのどぶろくを買って飲んだが

一度も美味しいと思ったことはなかった 少し飲んで残りは料理に使っていた

あちらこちらの旅先の特区のどぶろくを飲んでも 特設会場の試飲コーナーで飲んでもしかり

違うんだな 私の覚えているどぶろくではないんだな

 

未だ法律で禁止されていない頃 祖父は毎年どぶろくをつくった

そろそろ大丈夫というころ 上澄みを小さい小皿で舐めさせてもらうのが

楽しみだった

時間経過とともに味が変わっていき酸っぱくなった時は本当にまずいと思った

もしかすると 市販されているどぶろくは私が舐めた出来立ての頃のものではなく

時が経過し 発酵が落ち着いたもの? それが一般的などぶろくなのか

 

法律で家庭で作ることができなくなったある日

留守番で一人の時 田舎の親戚が茶色の一升瓶に詰めた白っぽいものを届けてくれた

帰ってきた親がすぐそれを隠したのを覚えている

夕飯時 祖父が どれどれと湯のみに注ぎ口元に持って行ったとたん

大声で笑いだした 牛乳だった

少し残念そうなほっとしたみんなの顔

 

子供の頃 どぶろくを美味しいと思ったのは私だけではなかったのかも

中学生の頃 中学校の道路を挟んだ向こう側に木が生い茂った山があり 

部活でトレーニングのためよく上るところであったが 

そこで中学生数人がどぶろくを作り飲んでいたという話が聞こえてきた

本当かどうか定かではなかったが 数人の中のひとりヤマネコと呼ばれていた

同級生はしばらく学校に来ていなかった